新潟発のゆるキャラ「越後フルーツ戦隊」が美味しすぎ!
【隔週木曜日更新】連載「母への詫び状」第三十回
■ナスを戦隊の仲間に入れてもいいじゃないか。
4人目は春の果物、戦隊のカラーバランス的に赤が欲しい。越後姫子でどうか。
「越後姫」というのは、これも地元のみで有名なイチゴの品種だ。果肉がつぶれやすく、県外への出荷に向かないという弱点がある。
正直、とちおとめに味で勝てるかと聞かれると苦しい戦いになるが、流通しにくい特徴を逆手に取り、新潟県内でしか食べられない〝貞淑な箱入り娘〟のイメージで売り出せばいい。
5人目は何にするべきか。佐渡の特産「おけさ柿」もあれば、各種の梨もある。しかし、ぜひ抜擢したい隠れた名産品がある。黒十全ナス(くろじゅうぜんなす)だ。
ナスは果物じゃなくて野菜だろ! という指摘は承知している。が、それを言うならスイカやイチゴも正確には野菜に分類されるし、ナスを戦隊の仲間に入れてもいいだろう。
実際、新潟県民にとって黒十全ナスの浅漬けは、スイカと並び、夏に食べるフルーツのような感覚に近い。浅漬けというと、普通は切って御飯のおかずにするものと思われるだろうが、うちの地元の長岡周辺ではナス1個まるごと手でつまみ、ガブリとかぶりつく。暑気払いのおやつや、夏のビールのお供として存在感を発揮する。
ぼく自身、このナスが新潟県の名産だなんて大人になるまで知らなかった。黒十全ナスという名前も知らなかった。子供の頃、当たり前に食べていたローカルフードのおいしさは、地元を離れて初めてその希少価値に気付く。
ゆるキャラの名前は、なすもん。紫色、やや丸みを帯びた体形。ヘタの部分は紫のドレッド・ヘアで表現しよう。ルレク・チエミや八色スイカマンと、5人並んで越後フルーツ戦隊を名乗ると、みんなから「君はフルーツじゃない!」とツッコミをくらい、「いや、新潟ではナスが夏の果物なんだ!」と反撃する、そこまでがお約束だ。
新潟県にはぜひ、PR事業として採用を検討していただきたい。